コニーは、私のいたA部署で一緒に仕事をしていた仲で、優秀なハードウェア設計者です。
ちょっとだけ、コニーのことを話しておきます。
おそらく、通常は、ハードウェアは汎用的な構成として安価に作り、機能搭載はソフトウェアで実現する、というのが、ソフトウェアとハードウェアの役割分担としては一般的だと思っています。
ところが、コニーの場合は、ソフトウェアで処理するよりもハードウェアで処理する方が高速で、ソフトウェア負荷が少なくなる、という設計をいとも簡単にしてしまう、というのが、彼が凄いと思うところです。汎用的なハードウェア設計ができる設計者は掃いて捨てるほどいると思いますが、ある機能に特化した専用のハードウェア設計をできる人って、あまりいないのではないかと思っていて、コニーのような設計者は貴重です。
新製品は、大規模な電子機器でしたので、ソフト設計は多くの担当者を必要とします。
そのため、外部からの派遣も依頼したりもしました。
とにかく、即戦力の人材が必要でしたので、派遣採用の面接には私も出席しました。
まず最初に派遣として来てくれたのがタミーで、彼は、かなりのベテランで、
組込みソフト設計のプロフェッショナルでした。
そんな中、開発が始まって間もなく、最初の事件が起きました。
新製品開発に最初から担当していたケリーが会社を辞めてしまったのです。
ハード設計もソフト設計もできる優秀な人材だっただけに残念でした。
彼と一緒に先行検討していたフックがいるのですが、彼はソフト設計者ではありますが、私から見ると、設計者としても、取りまとめ者としても力不足かな、と思っていました。
ケリーが辞めてしまって、戦力ダウンは否めない、という状況でした。
ケリーが辞めた理由は、詳しくはきいていないのですが、その時は、仕事が面白く無くなったのかな、ぐらいに思っていました。